地域包括支援センターQ&A

注:古い資料で、しかも抜粋です。

「地域包括支援センターの手引きについて」(厚生労働省)より

III その他関係資料
1 これまでに発出されたQ&A

目次
[1] 地域包括支援センター関係
 【1 設置について】
 【2 職員について
 【3 運営協議会について
 【4 業務について
 【5 地域支援事業関係
[2] 介護予防支援関係
 【1 委託について】
 【2 報酬について
 【3 業務について
 【4 その他

([3] 老人保健事業及び介護予防事業関係 は省略)


[1] 地域包括支援センター関係
【1 設置について】

(問1)地域包括支援センターの設置者については、どのような者が設置できるのか。

(答)
1.地域包括支援センターは、改正法案の介護保険法第115条の39第1項の定義のとおり、地域住民の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的として、地域支援事業のうちの包括的支援事業、すなわち、
 [1] 介護予防事業のマネジメント
 [2] 介護保険外のサービスを含む、高齢者や家族に対する総合的な相談・支援
 [3] 被保険者に対する虐待の防止、早期発見等の権利擁護事業
 [4] 支援困難ケースへの対応などケアマネジャーへの支援
の4つの事業を地域において一体的に実施する役割を担う中核拠点として設置されるものである。

2.このため、地域包括支援センターの設置者については、
 [1] 市町村 又は
 [2] 地域支援事業(包括的支援事業)の実施を市町村から委託を受けた者
が設置できるとされており(法第115条の39)、市町村が自ら設置する形でない場合には、地域支援事業(包括支援事業)の実施の委託を受けた者が、地域包括支援センターを設置することになる。

3.当該委託を受けることができる者の範囲は、改正法案では、「老人介護支援センター(在宅介護支援センター)の設置者その他の厚生労働省令で定める者」としており(法第115条の40)、具体的には厚生労働省令で要件を定めることになっている。

4.厚生労働省令では、地域包括支援センターの機能を中立・公正、効率的に遂行する観点から、設置主体の要件を定めることとしているが、既存の社会福祉法人・医療法人等だけではなく、地域において、地域包括支援センターの運営法人として新たな法人(NPO法人・公益法人等)を設立し、当該法人を受け皿として市町村が事業を委託する、といった方法も可能と考えており、いずれにしても、市町村において地域の実情に応じて弾力的に対応できるよう、要件の設定については対応してまいりたい。

5.なお、地域包括支援センターは、指定介護予防支援事業(新予防給付のケアマネジメント)を行うこととされており、当該指定を受けるに当たっては、法人であることが法律で要件となっていることから(法第115条の20第2項第1号)、法人でない者は地域包括支援センターを設置できない(上記の地域包括支援センターの要件では、法人要件は、必ず規定することになる)。


(問2)地域包括支援センターの設置主体はいつ頃までに決めればよいか。直営が中心になるのか。

(答)
1.平成18年4月から新予防給付を施行する市町村は、それまでに地域包括支援センターを設置する必要があるので、できるだけ速やかに「地域包括支援センター準備委員会」、「地域包括支援センター運営協議会」を立ち上げ、センターの設置箇所数や運営主体などについて協議することが必要である。

2.その際、介護保険法一部改正法案の国会審議の際の附帯決議(※)の趣旨も踏まえ、地域の実情に応じて、センターの機能が十分に発揮されるような運営主体を選定することが必要である。

(※)
○介護保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
(平成17年4月27日衆議院厚生労働委員会)(抜粋)
三 地域包括支援センターの運営については、公正・中立を確保する観点から、市町村の責任を明確化するとともに、地域に根ざした活動を行っている在宅介護支援センターの活用も含め、地域の実情に応じた弾力的な設置形態を認めること。

○介護保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
(平成17年6月16日参議院厚生労働委員会)
十二 地域包括支援センターの運営については、公正・中立を確保する観点から、市町村の責任を明確化した上で、地域に根ざした活動を行っている在宅介護支援センターの活用も含め、地域の実情に応じた弾力的な設置形態を認めること。また、専門職の配置については、その資格について経過措置を設けるなど、地域の実情を踏まえた人材の確保ができるように十分配慮するとともに、主任ケアマネジャー(仮称)については、介護現場での経験を重視し、適切なケアマネジメントを行える人材を登用すること。

※ 平成18年4月から新予防給付を施行しない場合であっても、その施行時期は、次期介護保険事業計画の策定作業の前提となるため、施行時期とその施行延期のための条例制定の有無を早期に決定することが必要である。


(問3)地域包括支援センターを設立するために条例を制定する必要があるか。

(答)
 地域包括支援センター設置に関して条例を制定する必要はない。


(問4)地域包括支援センターの機能は分割できるのか。また、事業の一部を再委託することはできるのか。

(答)
1.地域包括支援センターの中枢機能である包括的支援事業の実施については、4事業それぞれの機能の連携(担当専門職の多職種協働)が重要であることから、4事業を分割して別々の主体に委託することは想定していない。

2.指定介護予防支援事業(新予防給付のケアマネジメント)については、後述するように、業務の一部を地域の居宅介護支援事業所に委託することも認められる。


(問5)地域包括支援センターに、例えば総合相談・支援事業のみを行うブランチを置くことができるか。

(答)
1.地域包括支援センターが総合的に取り組むべき包括的支援事業の一部、例えば総合相談・支援事業のみを取り出して、他の法人に委託することは、法第115条の40第2項により認められない。

2.ただし、地域包括支援センターが4つの包括的支援事業に一体的に取り組むことを前提として、身近なところで相談を受け付け、地域包括支援センターにつなぐための「窓口」を設けることは、可能である。

3.先の回答は、地域包括支援センターが行う包括的支援事業(介護予防マネジメント、総合相談・支援、権利擁護事業、ケアマネジャーに対する支援)の一部を分割して、当該地域包括支援センターから他の法人に委託することは認められないことを示したものである。(一般に「ブランチ」と呼ばれる形態は、このような事業の分割・再委託の形態を指す表現であることから、このような意味での「ブランチ」は認められない旨をお示ししたものである。)

4.これは、地域包括支援センターは、継続性・一貫性を持った介護予防のマネジメントの実施や、地域で生活を継続するための各般の相談への対応など、地域包括ケアをワンストップで担う拠点として創設するものであるため、その機能の一部を外部委託することは、地域包括支援センター創設の趣旨を損なうものであることを踏まえたものである。

5.なお、住民の利便を考慮し、地域の住民から相談を受け付け、集約した上で、地域包括支援センターにつなぐための「窓口」機能を持つ場を設けることは可能である。地域包括支援センターと同一法人が設置する必要はない。(このような窓口を「ブランチ」と呼ぶのであれば、ブランチの設置も可能、ということになる。)


(問6)ブランチ(住民の利便性を考慮し、地域の住民から相談を受け付け、集約した上で、地域包括支援センターにつなぐための「窓口」)の経費を地域支援事業費の中でまかなってもよいか。

(答)
 老人介護支援センター等に地域包括支援センターのブランチ(窓口)を設置する場合は、地域包括支援センターの運営費の一部を協力費としてブランチ(窓口)に支出することは可能である。


(問7)地域包括支援センターは他の施設(居宅介護支援事業所等)と事務所を共用してもよいか。設備上の基準はどうなるのか。

(答)
1.地域包括支援センター運営協議会の議を経て、地域包括支援センターの包括的支援事業を既存の在宅介護支援センターの設置法人に委託する場合には、在宅介護支援センターや、それに併設する居宅介護支援事業所の事務所と共用することはあり得るが、一定の場合を除き、業務については兼務は認められないため、両センターの業務は明確に区分がなされることが必要である。

2.地域包括支援センターの設備については、適切な業務遂行が行えればよく、特段の基準を設けることは考えていない。


(問8)「地域包括支援センター」という名称を必ず使わなければならないのか。

(答)
 地域包括支援センターは、介護保険法の改正の柱の1つであり、包括的支援事業(介護予防マネジメント、総合相談・支援、権利擁護事業、ケアマネジャーに対する支援)を地域において一体的に実施する役割を担う中核拠点として全国展開していこうとするものであり、「地域包括支援センター」の名称はできる限り使用していただきたいが、各地域での呼び名として、より住民になじみの名称があるなら、そちらを使用しても差し支えない。


(問9)地域包括支援センターにおいて、介護予防マネジメントの担当圏域と、介護予防支援の担当圏域を変えてもよいか。

(答)
1.地域包括支援センターは、要支援・要介護になる前の方々を対象とした介護予防事業と、要支援者に対する予防給付について、連続的に一貫性をもったマネジメントを行う観点から設置するものである。

2.したがって、要介護・要支援になる前の者に係る介護予防マネジメントの対象圏域と、要支援者に係る介護予防支援の対象圏域は合わせていただき、要支援であるかないかによって担当する地域包括支援センター(指定介護予防支援事業者)が異なる、ということがないようにすることが必要である。


(問10)全国在宅介護支援センター協議会の「地域支援事業における在宅介護支援センターの活用」(平成17年8月)において、「サブセンター」方式によるセンターの設置が示されているが、こうした形態のセンター設置は認められるのか。

(答)
1.全国在宅介護支援センター協議会の「地域支援事業における在宅介護支援センターの活用」においては、市町村や社会福祉法人等が、在宅介護支援センターの職員を地域包括支援センターの職員として採用するなどした後、その職員を、在宅介護支援センターに併設する地域包括支援センターの支所で勤務させるような形態を「サブセンター」と呼んでいる。

2.こうした形態については、本所、支所を合わせたセンター全体として人員配置基準を充足し、本所が統括機能を発揮しつつ、それぞれの支所が4機能を適切に果たすことができるということであれば、認められる。


(問11)広域連合の構成市町村に包括的支援事業を委託し、構成市町村に地域包括支援センターを設置することができるか。

(答)
1.保険者たる広域連合が、包括的支援事業を構成市町村に委託することは可能である。

※ 第115条の40第1項に規定する「厚生労働省令で定める者」には、広域連合の構成市町村も含まれる。

2.また、その上で、当該構成市町村が地域包括支援センターを設置することは可能である。この場合、当該構成市町村は、改正介護保険法第115条の39第3項の規定に基づき、広域連合に地域包括支援センター設置の届出をすることが必要となる。


【2 職員について】

(問12)ケアマネジメントの業務に従事したことはないが、介護支援専門員の資格を有している自治体職員は、「実務経験を有する介護支援専門員」に当たらないのか。

(答)
 主任介護支援専門員は、支援困難事例を抱える介護支援専門員に対する指導・助言等や、多職種の連携による地域包括ケアマネジメントが効果的に実施されるよう、地域包括支援センターに配置するものであるので、業務の内容からして、ケアマネジメントの業務の経験を有する必要がある。
 これは、居宅介護支援事業所でのケアプランの作成等の経験に限定するものではなく、自治体や基幹型在宅介護支援センターにおける地域の介護支援専門員に対する相談・支援等の業務も含まれるものと考えている。


(問13)3職種の勤務形態は、常勤でなければいけないのか。兼務は認められないのか。

(答)
1.原則としては、各地域包括支援センターに、各分野ごとに1名の専任の職員を配置することが基本となるが、小規模町村が単独設置する場合は、業務量等も勘案して、一部の分野について兼務が生じることもやむを得ない。

2.また、例えば比較的大規模な地域包括支援センターの場合、各分野ごとに複数の専門職をおくことが考えられるが、そのすべてを専任・常勤で置かなければならないということはなく、実情に応じて兼務・非常勤とすることは差し支えない。
 さらに、例えば、介護予防マネジメントを担当する専門職(保健師等)を所定数確保した上で、複数の地域包括支援センターを巡回してプランのチェックに当たる、といった工夫も可能である。


(問14)専門3職種以外の職員(センター長、事務員など)を配置することは可能か。その場合、経費を包括的支援事業に含めてもよいか。

(答)
1.専門3職種以外の職員(センター長、事務員など)を配置することは特段想定していないが、包括的支援事業の業務内容や委託費の額等を勘案した上で、市町村が地域の実情に応じて配置することは差し支えない。

2.この場合、当該職員に係る経費については、包括的支援事業の中に含めても差し支えない。


(問15)センター長は置くのか。その場合何か要件があるのか。

(答)
 センター長の配置やその要件等については、包括的支援事業の業務内容等を勘案した上で、市町村が地域の実情に応じて適切に判断されたい。


(問16)センターの職員が居宅介護支援事業所や介護予防サービス事業所の職務を兼ねることはできるのか。

(答)
 小規模町村や専門職員を複数配置する場合に、適切な業務遂行が確保できると判断できるのであれば、兼務が認められる職員が、居宅介護支援事業所や介護予防サービス事業所の業務を行うことはあり得る。


(問17)人員配置基準は、新予防給付に係るマネジメント業務も考慮しているのか。考慮しているとすると、その業務を一部委託した場合には、基準を下回る人員配置もあり得るのか。

(答)
1.人員配置基準は、基本的には、包括的支援事業に係る業務を考慮し、保健師等の専門職種について各1名ずつ配置するという基準をお示ししたものである。

2.新予防給付に係るマネジメント業務については、配置される保健師等が行う業務量を勘案し、外部委託を行うかどうか等を各センターで判断することが必要である。


(問18)センターの設置主体が専門職員を確保できない場合に、他からの職員派遣などどのような受入方法が可能なのか教えてほしい。

(答)
1.地域包括支援センターの職員については、業務を適切に行うため、地域包括支援センター設置者との指揮命令関係が明確な形態であることが求められる。

2.したがって、地域包括支援センターにおける人材確保の方法として考えられるものは、次表のとおりである。

(注:元の表を分解加工しています。)
1 直営の地域包括支援センターの職員について

 ○職員として採用
  ・正規、臨時、非常勤又は嘱託のいずれかの形態で市町村の職員として採用する。

  ・「地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律」に基づき、任期付きで職員を採用する。
    (任期付職員の採用に係る条例を制定しておく必要がある。)

 ○他の組織からの職員受入
  ・出向(在籍型) 社会福祉法人等他の組織の職員を出向により受け入れる。
           (出向元に籍を残したまま、出向先では公務員としての任命行為が必要である。)

  ・労働者派遣 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)」に基づき、人材派遣会社から労働者の派遣を受け入れる。

 ※ ある法人が、市町村と労働者派遣契約を締結して職員を派遣した場合には、通常は、労働者派遣法上、「労働者派遣事業」とみなされ、厚生労働大臣への届出等が必要となる。

2 委託の地域包括支援センターの職員について

 ○職員として採用
  ・正規、臨時、非常勤又は嘱託のいずれかの形態で社会福祉法人等の職員として採用する。

 ○他の組織からの職員受入
  ・自治体職員派遣 「公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律」に基づき、自治体から職員の派遣を受け入れる。
            (公益法人等への職員派遣に係る条例を制定しておく必要がある。
  ・出向(在籍型)  社会福祉法人等他の組織の職員を出向により受け入れる。
            (出向元に籍を残したまま、出向先との間にも労働契約関係が生じる。

  ・労働者派遣 「労働者派遣法」に基づき、人材派遣会社から労働者の派遣を受け入れる。

 ※ ある法人が、市町村と労働者派遣契約を締結して職員を派遣した場合には、通常は、労働者派遣法上、「労働者派遣事業」とみなされ、厚生労働大臣への届出等が必要となる。


(問19)社会福祉士に準ずる者について、5年以上の現業員等の業務経験又は3年以上の介護支援専門員の業務経験のほかに、3年以上の高齢者の保健福祉に関する相談援助業務の経験が必要なのか。(現業員等なら、5+3で8年以上、介護支援専門員なら3+3で6年以上の経験が必要か。)

(答)
 1.5年以上の現業員等の業務経験又は3年以上の介護支援専門員の業務経験の中で、高齢者の保健福祉に関する相談援助業務を行っているのであれば、現業員等や介護支援専門員の業務経験期間とは別に、3年以上の相談援助業務の期間を要するものではない。(現業員等なら8年未満、介護支援専門員なら6年未満でも「社会福祉士に準ずる者」に該当することはあり得る。)

2.ただし、高齢者の保健福祉に関する相談援助業務とは、単に介護保険サービスに関するケアプランを作成するにとどまらず、例えば、居宅介護支援事業所を併設している在宅介護支援センター等において、介護保険サービスを含む地域の様々な保健福祉サービスや生活支援サービスも含め、より包括的な相談援助業務に従事していたことを想定している。従って、3年以上の介護支援専門員の業務経験があるからといって、直ちに3年以上の高齢者の保健福祉に関する相談援助業務の経験があるということにはならないことに留意が必要である。

3.各市町村においては、地域包括支援センター設置にあたり、社会福祉士に準ずる者として配置される職員が、こうした業務経験を行っているかを十分に確認し、適切な業務遂行が確保されるようにしていただきたい。


【3 運営協議会について】

(問20)運営協議会の設置根拠は何か。条例で規定する必要はあるのか。

(答)
1.地域包括支援センターの設置者については、「包括的支援事業を実施するために必要なものとして厚生労働省令で定める基準を遵守しなければならない」(法案第115条の39第4項)こととしており、厚生労働省令で、地域包括支援センターの設置及び運営について「地域包括支援センター運営協議会」が関与すべきことを規定することとしている。この運営協議会は、条例で規定する必要はない。

2.運営協議会は、市町村内の地域包括支援センターの設置、運営に関与するものであり、各市町村においては、早期に運営協議会(準備委員会のような位置付けでよいし、介護保険事業計画作成委員会を活用する形でもよい)を発足させ、センター設置に向けた取組を進めていただきたい。


(問21)地域包括支援センター運営協議会の運営財源はどうなるのか。

(答)
 地域包括支援センター運営協議会に係る費用については、地域支援事業費の中で賄うこととして差し支えない。


(問22)直営のセンターのみの市町村では運営協議会を設置しなくてよいのか。

(答)
 直営のセンターのみ設置する場合であっても、運営協議会は設置しなければならない。


(問23)市町村は地域包括支援センターにどう関与すればよいのか。

(答)
1.地域包括支援センターについては、市町村が自ら設置する場合のほか、包括的支援事業の実施を市町村から委託を受けた者が設置する場合があるが、いずれの場合においても、市町村は、その設置の責任主体として、センターの運営について適切に関与しなければならない。

2.センターに対する具体的な市町村の関与のあり方については、地域の実情を踏まえて市町村において判断されることとなるが、少なくとも、センターの設置・変更・廃止、センター業務の法人への委託、毎年度ごとの事業計画や収支予算、収支決算などセンターの運営に関するチェックについては、センター設置の責任主体として確実に実施しなければならない。

3.その際、市町村が事務局となって設置される地域包括支援センター運営協議会の議を経なければならない。地域包括支援センターの圏域設定や設置などの最終的な決定は、保険者たる市町村が行うものである。


(問24)運営協議会の位置づけ及び市町村との関係如何。

(答)
1.センターの設置・変更・廃止などに関する最終的な決定は、市町村が行うものであり、運営協議会は、市町村がこうした決定を行うに際して、センターの円滑かつ適正な運営を図るため、事業者・職能団体や被保険者などから意見を聴取する「場」である。

2.すなわち、運営協議会は、実際に行政の執行権限を持ち、自ら決定するような機関というものではなく、市町村の適切な意思決定に関与するものである。


(問25)運営協議会、地域密着型サービス運営委員会を既存の組織を活用し一体的に処理しようと考えているが可能か。

(答)
 地域包括支援センター運営協議会、地域密着型サービス運営委員会、既存の委員会等(介護保険事業計画作成委員会など)のそれぞれの構成員や、所掌事務を十分にこなせるかどうか等を勘案して、既存の委員会等を活用(分科会の設置など)することが適当であると市町村において判断された場合は、既存の委員会等を活用することも差し支えない。


(問26)運営協議会の構成メンバーに地域包括支援センターの代表者を入れることは可能か。

(答)
 運営協議会の構成員については、地域包括支援センターの運営法人の者を入れるかどうかも含め、市町村において地域の実情に応じて選定されたい。


【4 業務について】

(問27)地域包括支援センターの運営財源はどうなるのか。

(答)
1.地域包括支援センターの運営財源は、[1]地域支援事業費のうち地域包括支援センターで実施される包括的支援事業に係る事業委託費、[2]指定介護予防支援事業に係る介護予防サービス計画費(介護報酬)、に分けられる。

2.包括的支援事業に係る事業委託費は、いわゆる人件費補助ではなく、事業実施に係る経費として事業実績に応じて支弁されるものとする予定である。地域支援事業の財源構成は、
 [1] 予防事業(第115条の38第1項第1号)
   :国・都道府県・市町村・1号保険料・2号保険料
 [2] 包括的支援事業(同条同項第2号〜第5号)
   :国・都道府県・市町村・1号保険料

 ※交付金の算定方法(略)

3.指定介護予防支援事業に係る介護予防サービス計画費(介護報酬)の額及び算定要件は、「指定介護予防支援に要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第129号)に規定されているところであるが、指定介護予防支援については、事務の一部を既存の居宅介護支援事業者に委託することができることから、当該一部業務委託を行う予定の地域包括支援センターにあっては、介護予防サービス計画費の全額がセンターの収入とならないことになる。


(問28) 略


(問29)地域包括支援センターの委託を受けた場合、老人(在宅)介護支援センターは廃止する必要があるのか。

(答)
1.地域包括支援センターが行う包括的支援事業は、法律上、「老人介護支援センターの設置者」に委託できるとしていることから、地域包括支援センターの委託を受けたからといって老人介護支援センターを廃止することは想定していない。

2.この場合、老人介護支援センターの職員については、地域包括支援センター以外の他の業務に従事する職員と兼務で差し支えない。


(問30)地域包括支援センターは24時間対応を確保することが必要か。

(答)
 必ずしも24時間体制を採ることは必要ないが、虐待への対応等の場合も想定し、センター職員に対して緊急に連絡が取れるような体制を整備しておくことが必要である。(関係機関に、夜間や休日のセンター職員の緊急連絡先を登録する等)


【5 地域支援事業関係】

(問31) 略


(問32)地域支援事業の事業費が、法第115条の38第3項の政令で定める範囲を超える場合、どのように対応すればよいのか。

(答)
 市町村が限度額を超える事業量が必要と判断した場合には、[1]法第115条の41に基づく「保健福祉事業」として、第1号保険料を財源として実施する、[2]市町村の一般財源による事業を追加するなど、地域の実情に応じた取組が可能である。


[2] 介護予防支援関係

【1 委託について】

(問1)地域包括支援センターは、担当区域外(例えば、別の市町村)の居宅介護支援事業所に、新予防給付のマネジメントを委託することができるのか。

(答)
 利用者が地域包括支援センターの担当区域外の居宅介護支援事業所を選択する場合もあることから、地域包括支援センターは、担当区域外の居宅介護支援事業所にもマネジメントを委託することができる。


(問2)新予防給付のマネジメントを委託する場合の委託費用は介護予防サービス計画費のどの程度の割合とするべきか。

(答)
 新予防給付のマネジメントに係る委託費用については、介護予防サービス計画費、居宅介護支援事業所への委託範囲を勘案して、業務量に見合った適切な額を、地域包括支援センターが居宅介護支援事業所との契約において設定されたい。


(問3)介護予防支援業務について地域包括支援センターから委託を受けた居宅介護支援事業所が、利用者からの利用申し込みの受付・契約締結事務を行うことは可能か。

(答)
 契約締結主体はあくまでも地域包括支援センターであり、当該契約についての責任を地域包括支援センターが負うのであれば、事務処理の効率化を図る観点から、市町村の判断の下、当該事務を居宅介護支援事業所に行わせることも差し支えない。


(問4)指定介護予防支援事業の一部を外部の指定居宅介護支援事業者に委託した場合、地域の実情に応じて、介護報酬の請求事務も委託することは可能か。

(答)
 介護報酬の請求事務については、居宅介護支援事業所に委託することはできない。

(問5)地域包括支援センターが介護予防支援業務を居宅介護支援事業所に委託した場合の委託費を、国民健康保険団体連合会から直接、当該居宅介護支援事業所に支払うこととしてもよいか。

(答)
 介護報酬である「介護予防支援費」の請求者は、指定介護予防支援事業者である地域包括支援センターである。ただし、地域包括支援センターの事務処理の合理化の観点から、地域包括支援センター、国保連、委託先の居宅介護支援事業所の3者が合意の上、地域包括支援センターによる適切な関与の下に介護予防支援業務に影響がないのであれば、委託費の支払いについて直接、国保連から委託先の居宅介護支援事業所に支払うことも差し支えない。


(問6)〜(問9) 略


(問10)介護予防支援業務を指定居宅介護支援事業所に委託する場合の委託業務の範囲や委託期間は、介護予防支援事業者と指定居宅介護支援事業者の間の契約で、自由に決定することができるのか。また、その際の委託料については、なんらかのガイドラインが示されるのか。

(答)
 委託した場合であっても、最終的な責任を本来の業務実施主体である介護予防支援事業者が負うという前提で、基本的には、委託の範囲は、介護予防支援事業者と指定居宅介護支援事業者の間の契約で決定されるものである。その際の委託料についても、両者の契約によるべきものであり、ガイドライン等を示す予定はない。


【2 報酬について】

(問11)利用者が要介護者から要支援者に変更となった事例について、従前、ケアプランを作成していた居宅介護支援事業所が、地域包括支援センターから委託を受けて、新規に介護予防サービス計画を作成する場合、初回加算は算定できるのか。
(答)
 初回加算については、介護予防サービス計画を新たに作成するに当たり、新たなアセスメント等を要することを評価したものであり、お尋ねの事例については、算定可能である。
 なお、この考え方については、居宅介護支援費にかかる初回加算についても、共通である。

(問12)介護予防支援業務を委託している居宅介護支援事業所が変更となった場合についても、初回加算を算定することができるのか。また、転居等により介護予防支援事業所が変更となった場合はどうか。

(答)
 前者のケースについては、委託された居宅介護支援事業所は変更になっても、当該介護予防支援事業所としては初めて当該利用者を担当するわけではないので、初回加算を算定することができない。
 また、後者のように、転居等により介護予防支援事業所が変更となった場合については、介護予防支援事業所としては初めて当該利用者を担当するわけなので、初回加算を算定することが可能である。


(問13)初回加算の算定要件である「新規」には、契約は継続しているが給付管理を初めて行う利用者を含むと解してよいか。

(答)
 「新規」とは、初めて給付管理を行い、報酬請求を行う月について適用するものである。したがって、従前より、契約関係は存在していた利用者についても、初めて報酬請求に至った月において、初回加算を算定することが可能である。
 なお、この考え方については、居宅介護支援費に係る初回加算についても、共通である。


(問14)契約期間が終了したものの、その翌日に、再度、契約がされた場合については、再度の契約の時に初回加算は算定できるのか。

(答)
 初回加算については、実質的に、介護予防支援事業所が、初めて、利用者に対する対応を行う際に、その手間等を評価するという趣旨であるので、契約が実質的に継続するようなケースについては、算定することはできない。
 なお、この取扱方針は、形式的な空白期間を置いたとしても同様である。

(問15)インフォーマルサービスのみの介護予防サービス計画について、介護予防支援費を算定することは可能か。

(答)
 介護予防給付の利用実績のない場合は、給付管理票を作成できないため、介護予防支援費を算定することはできない。


【3 業務について】

(問16)地域包括支援センターの業務効率化の観点から、給付管理業務などケアマネジメントの内容にかかわらない業務について、事務職員に担当させることは可能か。

(答)
 アセスメントやプラン作成など、専門性が求められるケアマネジメントの業務については、資格要件を満たす専門職員により実施されることが求められるが、一方、給付管理業務など事務的な業務については、こうした資格は不要であり、事務職員が処理することとしても差し支えない。


(問17)介護予防支援の担当件数の標準は示されるのか。

(答)
 介護予防支援の人員基準上「必要な数」とされており、特に具体的な担当職員1人当たりの担当件数は示していない(介護予防支援基準第2条)が、業務に支障のない人員を配置することが必要である。

※ なお、介護予防支援の人員基準は、地域包括支援センターの設置基準で定められた3職種の人員基準とは別に定められているものであり、3職種との兼務は可能であるが、介護予防支援の業務に支障のない人員を配置することが求められる。


(問18)介護予防支援業務の担当職員については、非常勤として、他の指定事業所の業務と兼任することは可能か。

(答)
 介護予防支援業務の担当職員については、必ずしも常勤である必要はなく、業務に支障のない範囲で、他の事業所の業務と兼務することも可能である。


(問19)介護予防支援事業所の管理者と他の事業所の管理者は兼務可能か。

(答)
 介護予防支援事業所の管理者は、原則として専任でなければならない。
 ただし、当該介護予防支援事業所の介護予防支援業務、当該指定介護予防支援事業者である地域包括支援センターの業務に限って、介護予防支援事業所の管理に支障がない場合には、兼務可能である(介護予防支援基準第3条参照)。
 したがって、他の事業所の管理者との兼務をすることはできない。


(問20)介護予防支援業務を実施する担当職員を配置するスペースが不足しているため、地域包括支援センターとは別の場所に執務室を確保し、業務を実施することは可能か。

(答)
 地域包括支援センターの業務については、指定介護予防支援に関する業務を含め、専門職がチームにより一体的に実施することが求められることから、執務スペースについても一体であることが望ましい。
 ただし、職員配置の都合上、不可能な場合については、当面、分離することもやむを得ないが、その場合についても、
 [1]相互に連絡・調整を密に行い、地域包括支援センターとしての業務の組織的・一体的な実施に支障がないものであること
 [2]可能な限り速やかに、一体的に実施できる執務スペースを確保すること
が必要である。

※ なお、介護予防支援の担当職員の執務スペースを、例えば、居宅介護支援事業所内に置いて、居宅介護支援業務と混然一体で実施することは認められない。


(問21)介護予防訪問介護等定額制サービスのサービス提供日時の調整業務等は、誰が行うこととなるのか。

(答)
 従前はケアマネジャーが行っていたところであるが、介護予防サービスにおける介護予防訪問介護等の定額報酬であるサービスの場合は、必ずしも、介護予防支援事業者が行う必要はなく、サービス提供事業者が利用者との話し合いで行うこととして差し支えない。

※ 介護予防サービスについても、出来高払いのサービスの取扱いについは、従前どおりである。


(問22)介護予防支援の様式のうち、7表・8表の取扱いはどのようにすればよいのか。

(答)
 介護予防サービスにおいては、目標や方針、支援要素などを介護予防支援事業者が決定することとしている。サービスの具体的な提供方法や提供日等については、当該介護予防支援事業者が作成した介護予防サービス計画を踏まえ、サービス提供事業者と利用者の協議により決定されることとされている。
 これらを踏まえ、7表・8表については、現行のものを、適宜、介護予防支援事業者の判断により、業務に支障のない範囲内で簡素化して利用することとして差し支えない。


【4 その他】

(問23)要介護・要支援認定の新規申請、区分変更申請など、認定申請後に要介護度(要支援度)が確定するまでのいわゆる暫定ケアプランについては、どこが作成し、また、その際には、介護給付と予防給付のどちらを位置付ければよいのか。

(答)
 いわゆる暫定ケアプランについては、基本的にはこれまでと同様とすることが考えられる。したがって、要介護認定又は要支援認定を申請した認定前の被保険者は、市町村に届出の上で、居宅介護支援事業者又は介護予防支援事業者に暫定ケアプランを作成してもらい、又は自ら作成し、当該暫定ケアプランに基づきサービスを利用することが考えられる。
 その際、居宅介護支援事業者(介護予防支援事業者)は、依頼のあった被保険者が明らかに要支援者(要介護者)であると思われるときには、介護予防支援事業者(居宅介護支援事業者)に作成を依頼するよう当該被保険者に介護予防支援事業者を推薦することが考えられる。また、仮に居宅介護支援事業者において暫定ケアプランを作成した被保険者が、認定の結果、要支援者となった場合については、当該事業者の作成した暫定ケアプランについては、当該被保険者が自ら作成したものとみなし、当該被保険者に対して給付がなされないことがないようにすることが望ましい。
 なお、いずれの暫定ケアプランにおいても、仮に認定の結果が異なった場合でも利用者に給付がなされるよう介護予防サービス事業者及び居宅サービス事業者の両方の指定を受けている事業者をケアプラン上は位置づけることが考えられる。


(問24)実際の居住地が住所地から遠隔にある要支援者の介護予防支援は居住地と住所地のどちらの市町村の介護予防支援事業者が行うのか。また、その場合の費用負担はどのような取扱いとすればよいのか。

(答)
 介護予防支援については、住所地の市町村において指定された介護予防支援事業者において行うことが原則となるが、御指摘のケースの場合のように、実際の居住地が遠隔にある要支援者の介護予防支援については、
 [1] 当該住所地の市町村が、当該居住地の市町村の指定した介護予防支援事業者との契約により、当該介護予防支援事業者において当該要支援者の介護予防支援を行う方法
 [2] 当該住所地の介護予防支援事業者が、居宅介護支援事業所への委託を活用し、要支援者の居住地の居宅介護支援事業所に介護予防支援業務を委託する方法
などが考えられる。
 なお、[1]の方法による場合の費用負担については、両者の契約により行われるものであるが、住所地の市町村により当該介護予防支援に要した費用を負担することが考えられる。


(問25)問24において、遠隔地の介護予防支援における費用負担の取扱いが示されているが、[1]の方法による費用負担の財源について、どのようなものが考えられるか。

(答)
 住所地の市町村が居住地において行われた介護予防支援を基準該当介護予防支援と認め、特例介護予防サービス計画費(介護保険法第59条)を支給するという方法が考えられる。

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